この「発がんマウスモデル遺伝子発現検索」システムでは、下記に示す6系統のマウスモデルの胃から採取した組織におけるマイクロアレイ解析結果の情報を使って、胃の「炎症」や「がん」における遺伝子の発現変化を調べることが出来ます。
C2mEマウスは胃炎と過形成を発症し、GanマウスはWntシグナル活性化と炎症反応の相互作用により胃がんを発生します。また、Nog/C2mEマウスはBMPシグナル抑制と炎症反応の相互作用により良性の胃過誤腫を発生します。各マウスモデルについて詳細な情報は、『各マウスモデルの説明』を参照して下さい。また、マイクロアレイ解析の詳細はItadani et al, BMC Genomics 2009, 10:615を参照して下さい。
このシステムで目的遺伝子の発現を検索することで、「この遺伝子は胃がん組織で発現変化しているのか?」という情報が得られるだけでなく、「その発現変化には炎症反応が関与しているのか/いないのか?」について知ることが出来ます。
EGF受容体リガンドであるAmphiregulin遺伝子(遺伝子名:Areg)の発現を検索すると、WTマウスに対してWntマウスでは1倍、C2mEマウスでは3.4倍、Ganマウスで7.3倍、Nog/C2mEマウスで3.6倍に発現変化しています。したがって、Amphiregulin遺伝子は腫瘍の種類に関係なく、炎症反応依存的に腫瘍組織で発現誘導される遺伝子であることがわかります。
本検索システムについてのご質問は以下までお願いします。
金沢大学がん進展制御研究所 腫瘍遺伝学研究分野 大島正伸
TEL: 076-264-6760
e-mail: oshimam@staff.kanazawa-u.ac.jp